とりあえずチケットはゲットした。しかし、いくら探してもでてこない
パスポート
財布
カメラ
これではもう駄目だ。
レンタカー会社に戻って探して素早く戻ってくれば間に合う。あと1時間もある。
そういうと、文無しの私に$10をくれた細君。
$10を握りしめると、
I will be back!
と、敬礼をして私は颯爽としてエスカレーターを降りた。
細君は一人きりになってしまった。
不安だろうが、ここは独り立ちして欲しい。そんな気持ちでその場を後にした。
まずはレンタカー会社に戻る。レンタカー会社行きのバスを探す。ラスベガス着いたときに乗ったの同じバスだ。
しかし、出発ロビー側にいる私は、まず到着側に行って探さないといけない。
しかし、探してる時間はない。
空港の従業員に話かけ、なんとか初日に乗った場所まで行った。
バスの中には、いままさにバカンスの地ラスベガスについて、これからレンタカー借りて楽しい旅の始まりを期待する人々で一杯だった。
その中で、何故か手ぶらで、青白いアジア系の好青年がいる。奇妙な構図だった。
まるで、借金取りから追われて、身一つで逆転を狙ってラスベガスに着た好青年のように映ったに違いない。
しかし、そんな周りの視線から創造もつかない事を私は考えていた。
もし、パスポートも金も無くなったらどうする。
それでこんなプランを考えいた。
まず、この$10を元手に水を買う。
そして、ベラージオとシーザーズパレスの間にある通路で水を売る。
私の方が売れるであろう。少しでもお金が出来たらクーラーボックスを買う。
今度は、冷たいお水として売れる。
お金がある程度できたら、カジノの一発逆転。
富豪の誕生である。
私は$10からリッチになった富豪として、メディアでも話題に。ラスベガスの宣伝にも一役買える。
ラスベガスの王になる。
そんな想像をしていたら、レンタカー会社についた。
バスからダッシュで降りた。ダラーレンタカー(Dollar Rent a car) は少し人がならんでいた。
初日の悪夢がある。ここで並んでいたら1時間などあっという間に過ぎるであろう。
面倒なので、駐車場に行った。まだ私たちが借りた車はあった。
そして、清掃していると思わしき人に聞いた。
「あの車をさっきまで借りていたが、あの中に何かなかったか?」と
すると、
「何もないよ。自分で探してみな!」と言われた。
車に行く。何度探してもない。
当然だよね。
財布があるんだもん。
見つからないよな。
あと、30分を切った。そのとき、一人のおばさんが話かけてきた。
スペイン語訛りの、英語で
「どうした?」
そして私は答えた。
事のいきさつを話すと、
「うん、私に少し思うあたる所がある。ちょっと待ってろ。ここを動くな」
と。
泣きそうになった。
そして、おばさんに全てをかけた。
そして待っていると、掃除係じゃないマネージャー風の男が話かけてきた。
「お前探し物してるのか?」
と。
そして、
「はい」
と答えると、上のフロント行けよ。
紛失物があるよと。
「私の名前をフロントに伝えればすぐに話が出来るよ」
と教えてくれた。
動くなと言われてる手前、おばさんが戻ってくるのを待つのが筋だが、そうは言ってられない。
男の人に、事のいきさつをすべて話した。
そして
「おばさんに感謝の言葉と待ってなくてごめんなさい」
と伝えておいて下さいと伝えるとダッシュでフロントに向かった。
フロントには先ほどと違って人は待っていなかった。
直ぐに従業員の方に先ほどの男の人の名前と、カメラの紛失物がないかと聞くと、
ちょっと待って。
とゆっくりとオフィスの中に入っていった。
いや、私があせりすぎて、全ての動きがゆっくり見えただけかもしれない。
そして、戻ってきた従業員が聞いた。
「カメラだけか?その中に他にもあるんじゃないか?」と。
そして、財布とパスポートもあるよ。と答えると。
「そうだろう。こんなもの失くすな」と言われて返してもらった。
とにかくうれしかった。絶対に見つからないと思っていたので。
ダラーレンタカー(Dollar Rent a car) さんありがとう。あなたたちは正直ものです。
残りは、20分か。大丈夫ダッシュすれば。
そして、私は最大限の感謝の言葉を述べてその場を後にした。
前ラスベガスで空港まで道に迷う。時間もない。あれ、パスポートがねーぞ