また、出発ロビー行きのシャトルバスに乗る。バスの中で待っている間もドキドキだ。
アジアの好青年が、スーツケースも無しにカメラだけでバスに乗っている。
異様な光景だった。
バスが到着すると直ぐに降りたかったが、スーツケース、それに巨大な尻が邪魔をして出られない。
本当に、なんであんなに尻に脂肪が溜まるのか、不思議で仕方ない。
そんな巨大な尻の後ろをとぼとぼと詰めて、バスを降りる。降りたらダッシュ。
そして、やっと。。。。。。
おおおお!!セキュリティーチェックが激混み。しかも、遅い。あと、15分で飛行機は出発か。
とりあえず、警備員に事情を話すが取りあってくれない。
しかし、絶対あきらめない。俺は何としてでも帰る。
帰れない場合は、少ない資金を元手に、水を売って富豪になる。
今度は最初から、クーラーボックスも買える。あっというまに、富豪であろう。
あきらめたら全てが終わる。精神力だけで、ゲートを通ってやる。
そう強く信じていたら、奇跡が起きた。
あまりにも混んでいたので、係の人が増えてゲートが増設された。
そして、私は新しいゲートの方に誘導され、あと数人という所になった。
残り10分。
もう、靴も手に持つも貴金属も全て取り外し準備万端。
気持ち的には全裸でもいいと思ったぐらい。なにしろ、早く通りたい。
そして、残り5分。 通った。
ダッシュすれば間に合う。
どんなに疲れても、走りぬく気持ちはあった。
弱音は吐かない。骨が折れようがなにしようが、全力で前進するのみ。
肺はもう潰れてもよい。
彼女の一人で寂しいだろう。
絶対に迎えにいくから。そう細君には告げたので約束は果たす。
そう念じて、全力でダッシュした瞬間だった。
行き止まりだった。
そして、両脇には電車が見える。
出発ロビーへはここから電車に乗るようだ。
電車の中をダッシュしようと思ったが、無駄だろう。
しかし、まだあきらめない。電車はピストンのようにどんどんくる。
とりあえず乗る。とにかく遅い。気持ちが焦っているので、遅く感じる。
もう時計は見ない。もしかしたら、遅れてる可能性もある。
やることは全力で出発ゲートに行くことだけだ。
電車を降りる。直ぐに長い階段があったが、エスカレータは方側を開けてない人もいたので、階段をダッシュしたほうが早いだろう。
階段を上がると、迷路のように案内がごちゃごちゃ書いてあったので、近くにいた両替所の人に聞いて、出発ゲートを教えてもらった。
ダッシュ、もう人目は気にならない。とにかく走った。
ここには、ファーストフード店は、本屋、そしてスロットなどもあった。本来なら、ゆっくり二人で遊んでいたう。
しかし、この飛行機に乗れなかったら私は帰れない。
何があっても乗るしかない。
望みは持っていた。
そして、出発ゲートについた。
いや、出発ゲートがない。
どこにある。ない。
ここには、スチュワーデスさんがいて、チケットをここに通して下さいとか案内してるはずだ。
しかし、そこには何にもない。
誰もいない。
細君は無事飛行機に乗れたのか。
ぐるっと近くのゲートを全てみてみたが、どのゲートも出発直前のような雰囲気ではない。
出発ゲートだったと思わしき場所には、
チケットを掴んで、立ちすくしてる、アジア系の好青年というかモデルというか、イケメンが青白い顔して立っていただけだった。